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西宮能楽堂で体験・鑑賞をしました
2026.03.03
学びのようす
※この投稿は、歴史文化学科の在学生で構成する“学生ライター”が記事をまとめました。
高校生の皆さんに、在学生の視点から学びの様子をお届けします。
こんにちは。
歴文学生ライター1年生の児玉、辻です。
1年生の必修授業「初期演習Ⅱ」で、西宮能楽堂に見学に行ってきました。
今回のフィールドワークは2回にわたるプログラムです。1回目は能楽堂の方からお話をうかがったり体験したりする学びの時間、そして2回目は実際に能を鑑賞しました。
<1回目>
1回目は、能についての説明を受けた後に、能面・すり足体験、謡体験をしました。
能は世界最古の芸能であり、能から派生して人形浄瑠璃や歌舞伎に発展していきました。舞台に描かれている松の木は神様が宿る木として描かれています。舞台前方に神様のいる松の木があると見立て、それを写し出した姿として描かれています(板を鏡に見立てているので、「鏡板」といいます)。松の木の前で能を行うことで人々は芸能を捧げていました。使用されている道具に描かれている絵にも意味があり、源平合戦に関する演目で使用する扇子に描かれた絵には太陽が沈むか、昇っているかなどの部分から源氏か平氏かを見分けることができるそうです。

能と能面の説明を受けた後はすり足・能面体験です。足袋を履いて、舞台上に上がりました。舞台の床はとても滑らかで、木のいい香りがしました。

はじめに基本の姿勢を教えてもらった後にすり足をしました。
すり足の仕方は簡単に説明するとつま先を少し上げてから擦るようにして進みます。想像しているよりも難しいです。ゆっくりだとできますが、速くしようとすると手順がおかしくなる上に速さはあまり変化しないという不思議なことが起こりました。
能面は初めて間近で見ましたが、顔よりも小さく、どの能面も表情の迫力を感じました。顔に当ててみると非常に視界が狭くほとんど真っ直ぐにしか視線が動かせませんでした。また周りが暗い分、光がまぶしく感じました。「般若」などの感情が非常に高ぶっているような能面は目の部分が大きいため、比較的見やすかったです。鼻の部分も穴があるためそこからも見ることができました。能面をつけた状態だと足もとがほとんど見えないので、移動するときは床を常に感じられるすり足であることがよく分かりました。

最後に謡の体験も行いました。「羽衣」という話の最後の部分を実際に歌いました。歌詞が書かれている用紙には音符を使ったものではなく、ひらがなやカタカナとともに線で音程の上げ下げ、音の伸ばす長さが書かれていました。音程が変化するところのタイミングが難しかったです。また合唱などの歌い方とは違い、声の通りなどを意識する必要があると思いました。
能という芸能を役者さんによる実物を用いた説明、体験を通して学ぶことができました。本物を見ていると理解がとてもしやすかったです。体験では普段ではできない貴重な経験を得ることができました。次回の授業では実際に演目を見られるという事だったので楽しみだと思いつつ、この日の授業は終了しました。
<2回目>
2回目は、実際に能で使用される道具や衣装について詳しく教えていただきました。
普通に演目を楽しむ際には注視することが難しい小道具や衣装を、解説と共にじっくりと見せていただけて非常に貴重な体験となりました。

また、最後には演目「羽衣」を鑑賞しました。
「羽衣」は三保の松原の枝に掛かった美しい衣を漁師が見つける場面から始まります。持ち主である天女は、衣がなければ天界へ帰れないと涙ながらに返却を懇願し、心を動かされた漁師が衣を返すと、天女は感謝の舞を披露して天へ帰っていくという、幻想的な物語であり、能の代表的な作品です。
演者の一つ一つの所作や謡の響きを、教わった知識と照らし合わせながら、より高い解像度で受け取ることができました。もし事前の学びがなければ「舞が綺麗だ」という表面的な感想に留まっていたかもしれません。しかし、作品の背景や構造をあらかじめ深く理解しておくことで、内容自体に関心を持って鑑賞することができたと思います。
私は、プライベートで何度か能を鑑賞したことがありますが、説明や解説を聞いて知識を蓄えてから鑑賞すると、また違った視点から楽しむことができ、新しい学びになったと感じました。
自ら進んで能を鑑賞することは現代人にとって、ハードルが高いかもしれません。しかし、こうして解説を聞いて学んだり実際に体験・鑑賞できたりする機会があるのは、伝統芸能に触れる良いきっかけになるのではないかと感じました。
2年生になってからの学習も、さまざまな体験や経験を通して新しいことを学べるのが楽しみです。
【西宮能楽堂ホームページ】 https://nishinomiya-noh.jp/
歴文学生ライター 1年 児玉、辻